マンガレビュー『海色マーチ』2巻がおもしろい:ほのぼのだが役に立つ海遊びマンガだぞ!

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この記事は若干ネタバレを含みます。

沖縄海遊びマンガ『海色マーチ』2巻を読んだ。

普段はきらら系日常マンガはあまり読まないのだが、大好きな沖縄と海につられて1巻を読んだら面白かったので2巻もレビューを書く。

僕は以前は沖縄でダイビングインストラクターとして活動していたので、その経験もまじえて作品の感想を書きたい。マンガに直接関係ない話もあり。

🐚「海色マーチ」ってどんなマンガ?

沖縄の女子中学生二人が海遊びを楽しむ日常マンガである🐠💨

海色マーチ 2巻 (まんがタイムKRコミックス)

1巻のレビューにも書いたが、日常系ほのぼのマンガであると同時に海遊びの教科書的側面もある。海に興味がある人は読んで損なし。海に興味がない人も興味を持つきっかけになると思うのでぜひ読んでほしい✨

1巻のレビューはこちら
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沖縄海遊びマンガ『海色マーチ』がおもしろい!海は怖いから気を抜くなよ!:マンガレビュー
海色マーチ2巻のあらすじ

1巻で内地から引っ越してきたあまねと地元少女さんごが、より一層海遊びに理解を深め友情をはぐくむストーリー🐚

主要登場人物
  • あまね:好奇心旺盛で積極的。埼玉から宇御島に引っ越してきた島ナイチャー。沖縄の美しい海に感動して一瞬で海が好きになった。
  • さんご:地元のクール美少女。しつこいあまねをウザかっていたがいつのまにか相棒になった。だがあまねに対しては今でもクールに接する。
  • ひめ:優しい。お母さん的役割。
  • ひなた:ひめに懐いている。1学年下の後輩。あまねのことを変な先輩だと思っている。
登場人物(ひなた以外の3人)

💡海色マーチ2巻を読んだ感想

1巻と同じくあまねとさんごがシュノーケルなど海で遊ぶシーンを中心に展開。

あまねは1巻では海についての知識が皆無だったが、さんごとの海遊びを通じて2巻では海への理解が深まった様子。

海遊び情報多数!

2巻も1巻と同じくストーリーの随所に海遊びについての注意点など役に立つ情報が盛り込まれている。

例えば2巻ではあまねは釣りにも挑戦するが、釣り竿を使わない初心者向けの釣りの方法、釣った魚の名前、締め方など。

海の危険な部分も描かれた

ミナミト氏の絵はキャラクターがとてもかわいく、地元出身なだけあり透き通った美しい海が見事に描かれている。海の楽しさが非常によく伝わる作品なのである。

だが海で遊ぶのは楽しい反面、場合により危険が伴うことを忘れてはならない。今回はそれについても描かれていた。

岸に戻れなくなったあまね

当初に比べシュノーケル技術が上達したあまねは、海況の変化を察したさんごの制止を振り切りひとりでシュノーケルに出かける。

だがのんびりしている間に潮が満ち流れが変わったため岸に戻れなくなってしまった。このあまね遭難ストーリーは上級者の助言を無視して海遊びをするのは危険であるという教訓になっている。

危険な流れの変化を実際に経験した

流れに逆らって泳ぐのは無理

その後なんとか別の流れに乗りあまねは岸に戻る。強さにもよるが海で流れに逆らって泳いで前に進むことは極めて困難である。経験上これは間違いない。

前に進めない感じがどのようなものかをわかりやすく例えるなら、得体の知れない海の妖怪に後ろから体を引っ張られていくら泳いでも全然進まない感じ。めちゃくちゃ焦るから!

ガイドがいても安全とは限らない

僕はダイビング屋時代とにかく安全を重視していたので、海況が悪い場合は他店なら出航するような日でもツアーを中止にすることもあった。

だがお客さんは皆ようやく取れた休みに外国や内地からわざわざ沖縄に来るので、どうしてもと頼まれると多少無理せざるを得ないこともあった。

事故は1度もなかったが流れのせいで危ないと思うことは何度かあった。急に流れが変わることもあるし、行きはよくても帰りが大変だったということもある。

あまねフィンを装着

さんごに教えてもらって2巻の途中からあまねがシュノーケルでフィンをつけるようになった。フィンというのは元々魚のヒレを指す英語でシュノーケリング用語では足ひれのこと。英語ではフィンもしくはフリッパーと呼ばれる。

マンガレビュー:海遊びマンガ『海色マーチ』たまらなく沖縄の海に行きたくなるマンガ

最初はあまねを警戒していたさんごが、回を重ねるごとにこのようにあまねの面倒を見る様子がほほえましくてたまらない😊

フィンはさんごがあまねに手を貸して装着するのだが、はずれるからと言ってストラップを強く締めすぎて痛がるシーンが印象的。

フィンは足からはずれてすぐなくなる

フィンはストラップを強くしめないと足からはずれて簡単に落ちる。特に子供用はひどい。さんごもこれを心配していたのだろう。

僕もシュノーケルツアーでお客さんにフィンは強めに締めるようにしていたが、実際はあまねと同じように痛がる人もいるので無理強いはできない。

海に慣れている人ならフィンが取れそうになるとすぐにわかるので水中で自分のフィンのストラップを締め直すことができる。

ただし初心者のお客さんは海や魚を見るのに夢中になっているのでそれがわからず、いきなり外れて海底に落っこちてしまうのである。フィンはどのダイビングショップでも紛失率が高い道具なのは間違いない。

あまねもフィンに感動したはず

フィンがあるのとないのでは泳ぎやすさが全然違う。フィンありの方がぐんぐん進むしスピードも出せる。あまねも初めてフィンをつけて泳いだ時はさぞ感動しただろう。

2巻では沖縄文化にも触れられる

1巻のレビューで2巻以降は沖縄の文化や習慣についてもぜひ読みたいと書いたが、期待通り2巻には僕が好きなネタがふんだんに盛り込まれた。

釣り、ビーチ清掃、ハーリー、美ら海水族館(作中ではちゅらら水族館)、久高島、オニヒトデなどが主な文化ネタ。作者のミナミト氏は地元沖縄出身の方なので描写にも説得力がある。僕が特に興味を持った久高島とオニヒトデについて少し書きたい。

オニヒトデ問題

冒頭にも書いたが僕は沖縄でダイビングショップを運営していた元ダイビングインストラクターで、普通の人に比べてオニヒトデと接する機会が多くこの問題についても自分なりの考えがある。この先はそれを踏まえた上で読んでいただければありがたい。

世間ではオニヒトデは珊瑚を食いつくす悪者として知られている。作中でも最低な悪者として描かれ、美しい海を愛するさんごはオニヒトデを憎んでおり絶滅すべきとすら発言。

僕はさんごのこの発言に正直驚いた。実際の中学生はこのようなことを軽い気持ちで言うかもしれないが、マンガの中学生キャラクターに喋らせるセリフとしては少々残虐すぎやしないだろうか。

珊瑚礁が大切なのは間違いない!しかし・・・

珊瑚礁は南海の生物にとっては熱帯雨林のような生命の拠り所で生態系の中心。オニヒトデが大量発生して珊瑚を食いつくすのは確かに非常に深刻な問題である。しかし、

オニヒトデに悪意はない!

オニヒトデが大量発生するのも珊瑚を食いつくすのもオニヒトデに責任はない。だからと言ってオニヒトデを放っておけなどと言うつもりは毛頭ないし何かしらの対策を講じるべきだが「オニヒトデを憎むのは筋違い」ではなかろうか。

なぜオニヒトデが大量発生するのか

オニヒトデ大量発生の原因は正確にはわかっていないが、沖縄県によると地上の開発によって栄養素を豊富に含む赤土や生活排水が海へ流出しプランクトンが増え、それを餌とするオニヒトデの幼生の生存率が上がりその結果成体も増えるという説が有力。

これが事実ならばますますオニヒトデ自身に大量発生の責任はない😑

作中にも登場したが、ほら貝をオニヒトデの天敵と呼ぶ風潮もある。だがほら貝は数も少なくオニヒトデだけを食べているわけではないので天敵と呼ぶには無理がありすぎる。少なくともオニヒトデはほら貝を天敵などとは思っていないだろう。

対応は県に任せるしかない

オニヒトデ対策については沖縄県が中心となりあらゆる角度で研究が行われそのデータを考慮した上で計画的に駆除も行っている。地上開発への対応も含めオニヒトデ問題の総合的な解決は県や学者に託すしかないのである。

個人的に駆除ってどうなのよ?

乗合船でダイビングに出かけると複数ショップのグループが同じポイントで潜るのだが、ガイドによってはオニヒトデを見つけるとその場で駆除してしまう人もいる。

然るべき機関から依頼を受けたわけでもない個人がオニヒトデ憎しで手あたり次第駆除するのは僕は正しいこととは思えない。

たまたま見つけた1匹殺しても意味ないから

ダイビング中にたまたま見つけた1匹を駆除したところで環境保護の観点からはまったく意味がない。そんなことをしたら僕なら達成感よりも殺してしまった罪悪感の方が大きいと思う。

都会だとカラスに迷惑してる人がたくさんいるが殺す人は滅多にいない。だがオニヒトデは悪魔的な見た目が災いして盲目的に駆除しても許されるような気がするのだろう。

オニヒトデは見た目で完全に損をしている!

念のために書くが海色マーチ作中では誰もオニヒトデを殺していない!

オニヒトデ側?の意見も欲しかった

マンガと関係ない話が長くなってしまったが、オニヒトデを一方的に悪者扱いするのは必ずしも正しいわけではない、という反対意見も入れてほしかった。

例えばオニヒトデは絶滅すべきとまで言ったさんごの意見に対してあまねが若干疑問を感じる描写があれば、オニヒトデ問題に詳しくない読者にとっても親切なのではないかと思った。

あまねはジャンル不問で好奇心旺盛な人物なので、状況をきちんと説明すればオニヒトデ問題に興味を持たないはずがない。

オニヒトデ問題に興味のある人は沖縄県の資料を見るとよくわかるかも。沖縄県庁:オニヒトデ総合対策事業報告書

神聖な島「久高島」訪問

あまねたちが訪れた本島東南の沖合に位置する小さな島。本島南東部南城市の安座真港からフェリーで行ける。

マンガレビュー:海遊びマンガ『海色マーチ』たまらなく沖縄の海に行きたくなるマンガ

久高島は琉球神話の聖地で沖縄の中でも特に神聖な場所とされている。

本来よそ者が軽い気持ちで足を踏み入れて良い場所ではないのだが、現在は観光客の受け入れもしている。作中にもあったように貸し自転車で島内を見学することもできる。立ち入り禁止区域もいくつかあるはず。

僕は沖縄在住時に久高島唯一のダイビングショップ店主と付き合いがあったので一度だけ島まで手伝いに行ったことがある。島の風景で最も印象的だったのはとにかく木が生い茂っていること。

作中でもさんごが幼少時に持ち帰ってはいけないことを知らずに久高島から持ち帰った流木を返しに行った。木をむやみに切らないのも宗教的な理由なのかなと思った。

マンガレビュー:海遊びマンガ『海色マーチ』たまらなく沖縄の海に行きたくなるマンガ

久高島は一度は見る価値があるので沖縄旅行の際はぜひ訪問してほしい!

ハーリー

ハーリーは細長い手漕ぎボートのレースでドラゴンボートレースとも呼ばれる。僕が仕事をしていた港でも毎年6月に開催されていた。

僕は出場したことはないが興味はあったので、学校でハーリー体験するとは沖縄の子供がうらやましい。

マンガレビュー:海遊びマンガ『海色マーチ』たまらなく沖縄の海に行きたくなるマンガ

感想まとめ

あまねとさんごはひめとひなたも海仲間(シュノーケリング部)に加えてみんなで海をワイワイ楽しむ環境が整った。

さんごとあまねの関係

さんごとあまねの距離感がもう少し縮まれば良いなと思ったが、なれなれしくされるのを好まないさんごはあまねに対して愛はありつつも相変わらず厳しい。

水族館の暗い部屋で小学生に間違えて服をつかまれたさんごがあまねと勘違いして怒鳴るシーンは笑えるがちょっと悲しくもある。

転校生には優しくしてほしい

僕は子供の頃引っ越しが多かったのだが、転校先で仲良くなろうしているクラスメートに冷たくされると精神的にかなりきつい。あまねは空気を読まない積極的キャラなので良かったが僕なら悲しくてたまらないと思う。

さんごがあまねを嫌っているわけがないのはわかるが、もう少し打ち解けて終わってくれたら僕はもっと幸せだったのだ!

2巻で終了ってマジ!?

海色マーチは残念ながら2巻で完結だがキャラクターもとてもかわいく地元出身の作者さんらしく海の描写は特に素晴らしい!読んだら沖縄に行きたくなるマンガなのでぜひ多くの人に読んでほしいと思ったが題材がマニア向けすぎたのだろうか。

せっかくシュノーケリング部のメンバーが増え活動が本格化しそうだったのに続きが読めないのが非常に残念!

作者のミナミト氏は画力はハイレベルだし人物の感情表現も素晴らしい。

ぜひ新作も読みたい!

海色マーチ 2巻 (まんがタイムKRコミックス)

海色マーチ 2巻 (まんがタイムKRコミックス)

ミナミト (著)
ためになるほのぼの海遊びマンガ!

海なし県から沖縄に引っ越してきた小波周と生粋の沖縄ガール・比屋定珊瑚。釣りをしたり、水族館に行ったりと活動の幅はますます広がります!…それでも、二人の友情はなかなか深まらない!?ドタバタマリンコメディ、堂々完結!

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